「現地採用」=「正社員」?マレーシア就職の場合
日本で一般的だった「終身雇用制度」も最近では変化しつつあります。副業・複業を認める企業も多くなってきており、雇用される側も、一つの企業に勤め続けるのではなく、キャリアアップのために転職や起業をする方が増えてきました。
そもそも終身雇用制度を前提に働いていた日本の「正社員」の定義とは何でしょうか?そして、日本人がマレーシアなど海外で働く場合、そもそも「正社員」のポジションというものは存在するのでしょうか?
このコラムでは、日本とマレーシアにおける雇用形態の違いについてご紹介します。
日本の「正社員」は日本独自の概念
「正社員」という概念があるのは世界的に見ると珍しく、確かにマレーシアでも、フルタイム・パートタイムという区分けが一般的です。
日本で正社員・終身雇用ができたのは戦後。戦後の混乱の中で、人々の生活を安定させようと整備されたのが正社員・終身雇用制度です。年功に応じた定期昇給や退職金支給が行われ、従業員の不当解雇も規制されました。
そんな日本独自の「正社員」の特徴は大きく分けて二つです。
・期間の定めのない労働契約
・フルタイム労働者
加えて、一般的に一度「正社員」として雇用されれば、よっぽどのことがない限り解雇などで職を失う可能性は低く、ボーナスや福利厚生など、給料以外の特典が得られる立場であるといえるのではないでしょうか。
マレーシアの「現地採用」は「期限付き」
マレーシアで働いていると、日本にいる知り合いから「正社員なんでしょ?」と聞かれることがあります。
しかし、マレーシアの「現地採用」は日本人が考える「正社員」とは異なるように思います。
というのも、日本人がマレーシアで働くには「就労ビザ」が必要ですが、ビザの期限は最大でも2年間です。ビザ申請の際には雇用契約書を移民局など管轄官庁に提出するのですが、そこには雇用期間(=ビザの有効期限)がはっきりと書かれています。
つまり、マレーシアでの「現地採用」は期限付きなのです。
この時点で、無期限雇用を前提とした日本の「正社員」とは若干異なります。
もちろん、雇用契約と就労ビザを更新することは可能ですが、ビザの取得にはコストがかかります。企業側としても、期待を下回るスタッフとの契約は更新しないという選択肢もあるのです。
また、就労ビザの発行条件は政権の意向によっても左右されます。一度就労ビザが発行されたからといって、そのあともずっと発行されるという保証はありません。もちろん、同じ企業で長く働いている現地採用の方もいらっしゃいますが、基本的に「現地採用」は日本の「正社員」とは異なるものです。
フルタイムで働いてるとはいえ、いわゆる終身雇用を約束されている日本での「正社員」と同じような安定感はないといえるでしょう。
「正社員」がいいなら「駐在」を目指そう
海外で働きたいけど「正社員」という立場にもこだわりたい、というなら「駐在」の立場を目指す方法もあります。簡単なことではありませんが、海外進出を計画している会社が駐在を前提とした正社員を探している場合もあります。
日本の本社から出向する形での「駐在」と「現地採用」とでは待遇に天と地ほどの差があります。
住宅手当、社用車支給、日本の社会保険完備、子どもの教育手当、日本と現地でそれぞれ給料が支払われる……などなど、企業によって異なりますが、現地採用では望めない待遇が盛りだくさんです。
とはいえ、駐在というのははたいてい現地の責任者ですから、裁量権が大きい分、責任や仕事量も比例して大きく、能力も経験も優れている人が多く、待遇がいいのも当然といえるでしょう。
まとめ
マレーシアの「現地採用」は、日本でいうところの「正社員」とは異なり、雇用期間に期限があります。安定や待遇を求めて「正社員」にこだわる方には、そもそも海外就職は向いていないとも言えるかもしれません。
とはいえ、特別な能力や経験がなくても、海外勤務に挑戦できる「現地採用」は、海外で働いてみたいという方には大きなチャンスとなることは間違いありません!
海外勤務で得られることはたくさんあります。自分がどのような経験を積んでいきたいのか、どんなキャリアを目指したいのかを考えて海外就職や雇用形態を検討するのがよい思います。
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