マレーシアの年収事情:経済成長に伴う給与水準の変化と日本との比較

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更新日:
2024.09.20
マレーシアの労働市場が大きな変革期を迎えています。2024年、デジタル経済の急成長と新興産業の台頭により、マレーシアの平均年収は前年比10%増を記録。特に都市部や高スキル職種では顕著な上昇が見られます。本記事では、最新の年収データや日本との比較、そして変化する労働市場の動向を解説し、マレーシアでの就労や生活を考える方必見の情報をお届けします。

 

マレーシア 年収の概要

 

 

マレーシアは東南アジアの中でも経済成長が著しい国の一つです。

そのため、労働市場も活発で、多くの外国人労働者が集まっています。

マレーシアの年収は、都市部と地方、そして職種によって大きく異なります。

この記事では、マレーシアの平均年収から職業別の給料まで、詳しく解説していきます。

 

マレーシアの平均年収とは?

 

マレーシアの平均年収は、職業や地域によって異なりますが、2023年時点でおおよそ年間RM40,000〜RM60,000(約130万〜200万円)程度です。

都市部、特にクアラルンプールやジョホールバルではこれより高い傾向にあり、生活費の高さに対応するため、年収も上昇しています。

地方ではやや低めとなることが多く、特に農業や観光業が主な収入源である地域では、都市部と比べて賃金格差が顕著です。

 

さらに、年収には業種による大きな差が存在します。

例えば、IT業界や金融業界では、専門知識やスキルを持つ労働者が高い年収を得ており、特にITエンジニア、データサイエンティスト、アナリストといった技術職では年収が135万リンギット(約4500万円)を超えることも珍しくありません。

これらの職種は、グローバルな競争力が求められ、国内外の企業が積極的に高度な人材を採用しようとしているため、給与が高騰しています。

 

一方で、サービス業や小売業など、労働集約型の職種では平均年収が低い傾向にございます。
このような職業では、キャリアアップが困難な場合も多く、安定した生活を送るためには複数の収入源や副業を持つことが一般的です。

 

加えて、政府は最低賃金制度を導入しており、都市部では労働者の生活を保障するために最低賃金が引き上げられています。

2023年時点では、月額RM1,500(約5万円)が全国平均の最低賃金であり、雇用者にとって基本的な保障として機能しています。

特に都市部では、最低賃金を超えた給与が多く見られますが、地方ではこの基準に近い金額が一般的です。

 

最後に、年収の違いは学歴や経験によっても影響を受けます。

高度な学位や国際的な資格を持つ労働者は、特に外資系企業で高収入を得る傾向があります。

また、マレーシアでは企業内での昇進や給与アップが比較的早いペースで行われることもあり、キャリアアップのチャンスが豊富です。

 

マレーシアの年収と日本の比較

 

 

マレーシアの年収は日本と比べると低いですが、生活費が安いため、実質的な生活水準を高く感じることができます。

日本の平均年収は約440万円(2023年時点)で、これはマレーシアの平均年収(約100万〜140万円)の約3倍に相当します。

しかし、マレーシアでは物価が安く、特に家賃や食費、交通費などの基本的な生活費は日本に比べて大幅に低いため、所得に対する生活費の割合が少なく済みます。

マレーシアでの生活は、同じ収入でより高い生活の質を享受できる環境にあると言えるでしょう。

 

例えば、マレーシアの首都クアラルンプールにおいて、中心地でさえも快適なアパートを月にRM2,500〜RM5,000(約8.5万〜17万円)で借りることができます。

一方、日本の大都市、特に東京の中心地では、同じような条件のアパートを借りると、月額20万円以上かかることが一般的です。

このように、家賃だけを比較しても、マレーシアでの生活費は大幅に抑えることができ、生活のゆとりを感じやすい環境です。

 

また、食費に関しても、マレーシアのローカルフードや外食は非常に安価です。

屋台やフードコートでの食事は一食あたりRM10〜RM20(約350〜700円)程度で済むため、日常の食事にかかる費用を大幅に削減することが可能です。

これに対し、日本での外食や日常の食材購入は相対的に高く、一食あたりのコストが高いことが多いため、生活費全体に占める割合が大きくなりがちです。

 

交通費についても同様です。

マレーシアでは公共交通機関の利用が非常に安価であり、都市部でもバスや電車の運賃は1回の乗車でRM1〜RM5(約34〜170円)程度です。

自家用車を持つ場合でも、燃料費が日本に比べて安価であり、ガソリンの価格は日本よりも低く設定されています。

また、マレーシアでは車を購入する際にかかる税金や保険料も日本より抑えられているため、車を所有することがより手頃です。

一方で、日本では電車やバスの料金が高く、特に都市部では通勤通学にかかる交通費が大きな負担となることが一般的です。

 

さらに、医療費も両国で大きな違いがあります。

日本の医療システムは高品質ですが、その分コストもかかることが多く、特に自由診療や高度な医療を受ける場合は高額になることがあります。

対してマレーシアでは、公立病院での診察や医療サービスは非常に安価で、外国人でも比較的手頃な価格で受けられるため、医療費の面でも負担が軽く済むことが多いです。

 

結果として、マレーシアでの生活は収入に対して支出が少ないため、たとえ日本よりも年収が低くても、より豊かに暮らすことが可能です。

物価の低さに加え、温暖な気候や自然環境、異文化交流が豊かな社会背景も手伝い、マレーシアは多くの外国人労働者や退職者にとって魅力的な移住先となっています。

 

マレーシアの年収の推移

 

 

マレーシアの年収は、近年の経済成長とともに継続的に上昇しています。

特に2010年代以降、外国企業の進出とインフラの整備が進み、マレーシアは東南アジアの経済の中心地の一つとして成長を遂げました。

この結果、労働市場は活性化し、国内外の企業が労働力の需要を高めたことにより、賃金も上昇傾向にあります。

 

政府の経済成長計画の一環として、マレーシア政府は「第11次マレーシア計画(11th Malaysia Plan)」を策定し、2021年から2025年にかけて経済成長と国民の賃金向上を目指す政策を実施しています。

この計画では、特に情報技術(IT)、金融、製造業などの成長産業に焦点を当て、高スキル労働者の賃金を引き上げることを目標としています。

これにより、これらの業界に従事する労働者の年収は、従来よりも大幅に上昇しています。

たとえば、IT業界では人工知能(AI)やデータサイエンス、サイバーセキュリティなどの分野で高度なスキルを持つ専門家の需要が急増しており、年収が急激に伸びています。

 

マレーシアの労働市場における賃金の上昇は、ASEAN経済共同体(AEC)による地域内の経済統合とも密接に関連しています。

AECは、ASEAN加盟国間での貿易や投資の自由化を促進するだけでなく、労働力の自由な移動も推進しています。

この統合により、マレーシア国内の企業はASEAN地域内の他国からも高度なスキルを持つ人材を採用しやすくなり、これがマレーシアの労働市場全体に良い影響を与えています。

高度なスキルを持つ外国人労働者の採用に伴い、企業は競争力を高めるために国内労働者の給与も引き上げざるを得なくなっており、これが賃金の全体的な上昇を後押ししています。

 

さらに、都市部では外国企業の進出に伴い、新たな雇用が生まれ、賃金も他の地域に比べて急速に上昇しています。

特にクアラルンプール、ジョホールバル、ペナンなどの都市では、製造業やサービス業、IT産業が成長しており、国内外の企業が競争的な賃金を提供して、優秀な人材を確保しようとしています。

これにより、都市部の賃金水準は地方部よりも著しく高い傾向が続いています。

 

一方で、地方部の賃金上昇は比較的緩やかであり、都市部との賃金格差は依然として残っています。

地方部では主に農業や観光業が主要な産業であり、これらの産業では都市部に比べて給与が低く抑えられがちです。

しかし、政府は地方経済の活性化と、地方の労働者の賃金を改善するための取り組みも行っています。

例えば、地方におけるインフラ整備や教育・職業訓練プログラムの推進によって、地域ごとの賃金格差の縮小を目指しています。

 

また、マレーシア政府は最低賃金制度を定期的に見直し、労働者の生活水準を向上させるために最低賃金を引き上げています。

2023年時点では、都市部と地方部で月額RM1,500(約5万円)の最低賃金が設定されています。

最低賃金の引き上げは、特に低賃金労働者の生活を支える重要な手段となっており、今後も引き続き政府の政策として強化される見通しです。

 

今後も、マレーシアの経済成長が続く限り、年収の上昇傾向は継続することが予想されます。

特に、政府の推進するインフラ整備や経済改革が順調に進展する場合、マレーシア全体で労働者の賃金がさらに改善される可能性があります。

このため、マレーシアでの生活やキャリア形成を考える際には、賃金の推移や成長産業の動向に注目し、自身のスキルやキャリアプランに合わせた戦略を立てることが重要です。

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