マレーシア入門 ~医療・年金・社会保険制度ってどうなってるの?~

カテゴリ:
ライフハック
マレーシア紹介
更新日:
2023.09.08
マレーシアは、その魅力的な観光地や経済的な機会に引かれ、多くの外国人が移住や就業の機会を求めて訪れる国として注目されています。しかし、新たな国での生活を始める際には、医療、年金、社会保険などの重要な側面についても理解しておくことが不可欠です。今回は、マレーシアの医療制度、年金制度(EPF)、そして社会保険(SOCSO)について詳しく説明します!

 

背景

 

コロナも落ち着き、海外への渡航も通常にできるようになりました。そのおかげもあり、日本からマレーシアに就職先が見つかり、渡航する方々も増えてきました。マレーシアでのお仕事が見つかっても、いざくるとなると病院のこと、お金のこと、保険のことなど、生活面で気になることも出てくるため、様々な質問をいただきます。今回はそのような方々に対し、マレーシアの現状をご共有させていただき、基礎となる情報をお伝えできればと思います。ただあくまでマレーシアの一般的な説明が多くなるため、細かい内容は入社する企業によって(保険加入範囲の違いなどで状況が)異なったりします。マレーシアの一般事情を知るために本内容を活用いただければと思います!

 

医療面

 

まずは医療面からです。マレーシアの医療制度は、先進国並みのサービスを提供しながらも、低いコストで利用可能と言われています。公的医療機関での診察費が1リンギット(約30円)からという低価格での設定になっています。これはマレーシア国民にとっては非常に嬉しい内容です。ただ、これはマレーシア人のみが対象になるため、日本人はじめ外国人はその対象にはなりません。また、高額な医療費が掛かる私立医療機関も増加しており、その質の高さから、外国から医療ツーリズムの目的で訪れるようになっているほどです。

 

日本との違いとしては、日本は国民健康保険など社会保障が手厚いため自己負担が少なく済むようになっています。一方、マレーシアでは日本の国民健康保険のようなものがないため、基本的には自己負担か、就職先の企業の福利厚生としての保険サポートで対応していくことになります。

 

参考までに実体験に基づく、簡単な医療費を記載します。

マレーシア滞在中に何度か胃腸炎になり、複数回クリニックに通いました。

英語とマンダリン対応可能のローカルクリニック、日本語が利用できる日系クリニックがあります。

費用の違いですと、私の場合は、ローカルクリニックの場合はRM80ほど、一方日系クリニックではRM500~RM600ほどかかりました。やはり日系クリニックや日本語対応可能となると費用も上がります。

一般的な病気の場合は、年に数回かかる程度であったり、英語が話せてローカルクリニックに通える場合は大した負担にはならないかと思います。ただやはり異国ということもあるため、入院保険や高額になるケースには備えた保険加入が必須といえるかと思います。

 

年金制度(EPF)

 

社会保険の1つにEPF(Employees Provident Fund)というものがあります。

これは労働者が安定した老後を迎えるためのサポートを目的としており、マレーシアの年金制度のようなものになります。従業員と雇用主の双方からの拠出に基づいています。

 

負担割合は下記のようになっています。

・月収RM5,000超  使用者:月収の12%、被雇用者:月収の11%

・月収RM5,000以下 使用者:月収の13%、被雇用者:月収の11% 

 

例えば、月収がRM7,000の場合、従業員はRM770、雇用主もRM840をEPFに拠出します。

日本の年金制度との大きな違いは、EPFが投資を行い、その利益を加入者に還元している点です。実際、EPFの平均的な年間利回りはだいたい5-6%程度です。日本の銀行の普通口座預金で年0.001%の金利を比較すると非常に高い水準ということがわかります。

 

ただこのEPF制度もマレーシア国民と外国人労働者に対する仕組みが少し異なります。

上記に説明した内容は基本的にマレーシア国民に対する数字となります。日本人など外国人がEPFを活用する場合は下記の内容になります。

・使用者(企業側):月額RM5

・被雇用者    :月収の11%

 

つまり、日本人が加入する際は月収の11%を自己負担でEPFに回しますが、企業サイドはRM5のみの負担となります。

 

社会保険 ~SOCSOに関して~

 

次にSOCSO(Social Security Organization)です。マレーシアの社会保険はSOCSO(Social Security Organization)によって運営されています。この制度は、労働者が職業上の怪我や病気になった際のサポートを目的としています。具体的には、治療費の補償や、障害を負った場合の給付などが行われます。日本にも労働者災害補償保険という似たような制度が存在しますが、それをイメージしていただけると分かりやすいかと思います。SOCSOに関してはマレーシア人だけでなく外国人も加入が義務付けられております。

 

まとめ

 

 日本のシステムと比較し、違いを把握しながらもマレーシアの実態に関する知識をつけていくことが重要だと思います。今回がそのきっかけになれば嬉しいです!もっと細かい情報を知りたい方はぜひ政府機関公表の内容もご覧ください。

 マレーシアで生活をしていて個人的に思うことは、やはり異国で働き生活していくため、ある程度の保険への加入は重要になると思います。そのため就職先の企業に保険のカバー内容の確認や、追加で個人的に入る内容の確認はしてみてもいいかと思います。

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